グラビア写真のイメージの強い篠山紀信ですが、いくつかは女性ヌード以外の写真集を出しています。その中でも有名なものが、日本の写真集史にも刻まれるドキュメント写真集「晴れた日」だと思いますが、同年の1975年に発行されたこの「家」もまた素晴らしい写真集です。
日本の家と家を取り巻く空気を静かに写し出しています。
「晴れた日」が高度成長期の熱気と孕んだ日本を写した「陽」の作品とすると、前近代的な家屋や薄暗い雰囲気の部屋などが中心となった「家」は、それと対をなす「陰」の作品なのかもしれません。
文章を多木浩二が担当していることからも、この作品が重厚で批評的な写真集だということが
わかるでしょう。刷り部数的な理由もあるとは思いますが、それにしても、「晴れた日」よりも出てこない気がします。
箱がやや痛み、奥付ページに蔵書印がある他は目立った痛みはありません。
大判ですので、購入された方はご自宅でゆっくりご鑑賞ください。
¥4,2000-