遺書
十五六歳から感付いていました。
私は落ちゆく事がその命でありました。
是れは恐ろしい血統の宿命です。
肺病は最後の段階です。
宿命的に、下へ下へと行く者を、引き上げやう、引き上げやうとして下だすつ
た小杉さん、鼎さん素の他の知人友人に私は感謝します。
たとえ此の生が、小生の罪でないにしろ、私は地獄へ堕ちるでしやう。最底の
地獄にまで。さらば。
一九一八年末 村山槐多
22歳の若さでこの世を去った天才美術家、村山槐多を偲び出版された遺作集。詩作、エッセイ、小説、戯曲、日記等、貴重な資料が収録。大正9、10年アルス社より発行。編集、寄稿者は山本鼎、小杉未醒、山崎省三など。
函入2冊 ¥42000