2010/08/14

村山槐多「槐多の歌へる・其後」2冊セット


遺書


自分は、自分の心と、肉体との傾向が著しくデカダンスの色を帯びて居る事を
十五六歳から感付いていました。

 私は落ちゆく事がその命でありました。

 是れは恐ろしい血統の宿命です。

 肺病は最後の段階です。

 宿命的に、下へ下へと行く者を、引き上げやう、引き上げやうとして下だすつ

た小杉さん、鼎さん素の他の知人友人に私は感謝します。

 たとえ此の生が、小生の罪でないにしろ、私は地獄へ堕ちるでしやう。最底の

地獄にまで。さらば。

      一九一八年末           村山槐多

22歳の若さでこの世を去った天才美術家、村山槐多を偲び出版された遺作集。詩作、エッセイ、小説、戯曲、日記等、貴重な資料が収録。大正9、10年アルス社より発行。編集、寄稿者は山本鼎、小杉未醒、山崎省三など。

函入2冊 ¥42000